2019年8月道コンから見る、地域の学力差の実情

わたしのマナビ
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昨日、2019年8月実際の北海道学力コンクール(通称:道コン)の個人成績表が届きました。そこから見る学力差について、まとめました。

北海道学力コンクール
北海道学力コンクールを主催する株式会社進学舎のWebサイトです。

※道コンは入試と同じ【60点×5教科=300点満点】の模試になります。
※手元にあるデータで記事を書いたので、全市のデータはありません。
※今回は、中3のデータについて扱っています。

地区別の平均点(中3)

受験者数5教科合計国語数学社会理科英語
全道12871168.335.629.934.333.934.4
石狩地区8604174.136.731.035.435.235.7
北区・石狩市ほか1383167.435.630.034.034.033.6
東区841162.634.829.232.533.132.9
白石・厚別・清田区1631168.636.229.933.933.934.6

初めに【北区・石狩市ほか】の地区は、正確には北区・石狩市・当別・新篠津となります(表の関係で省略しました)。

【全道】に比べて、【石狩地区】の方が高い平均点となっています。

しかし、【北区・石狩市ほか】【東区】【白石・厚別・清田区】の3つの地域の平均点を見ると、【石狩地区】を下回っています。おそらくデータにはない【中央区】が平均点を高く引っ張っていることが予想されます。

地域による教科間の平均点の違いはなく、どの地域でも数学の平均点が低い結果となっています。これは試験の難易度に起因することなので、「数学だけ学力が低い」のではなく、「数学は問題のつくりが難しく、点数が取りにくい」と考えたほうが良いと思います。

学校別の平均点(中3)

受験者数5教科合計国語数学社会理科英語
全道12871168.335.629.934.333.934.4
石狩地区8604174.136.731.035.435.235.7
北辰中(北区)98197.041.935.438.840.640.0
美香保中(東区)31177.139.631.734.736.434.7
新琴似北中(北区)67165.833.530.734.335.431.5
北都中(白石区)64160.135.127.932.032.632.2

学校別に見ると、平均点の違いが出てきました。

石狩地区の平均と比べて、【北辰中】が+20点と圧倒的に高い平均となっています。道コンは300点満点のテストですから、定期テストの500点満点に換算すると、+30点以上にもなります。

次いで【美香保中】が石狩地区の平均とほぼ同じですが、東区平均が162.6点だったので、それに比べると健闘しているように思えます。

そして【新琴似北中】【北都中】の順に差がついているのですが、一般的には、中心部から郊外に向かうほど全体的な学力が下がる傾向にあります。それが道コンにもあらわれているように感じます。(当然、4校のみの比較なので全てに当てはまるとはいえませんが)

定期テストを信用してはならない

北辰中の定期テストは難しい

それでは、北辰中のような平均点が高い中学校と、その他の中学校の差はどこから生まれているのでしょうか。私の塾は北18条にあるので、生徒が多く通っている【北辰中】と【美香保中】を例にしたいと思います。

北辰中の生徒は「定期テストで苦労するが、ランクの割に道コンの点数が高い」
美香保中の生徒は「定期テストは得点できるが、ランクの割に道コンが取れない」

この傾向は明らかで、間違いなく北辰中の定期テストの方が難しく作られています。

地域的に学力が高い生徒が集まるせいか、北辰中の定期テストは、教科書やワークだけをやっていても高得点は取れません。授業で扱ったことや、それに関連する問題が細かく出題されるので、本質的に学校の先生の話を理解していないと、得点できないようになっています。

それに対し、美香保中の定期テストは教科書やワーク通りに出ます。なので、典型的なパターンの問題をある程度練習しておけば、それなりに得点できます。

定期テストが易しいと、受験に弱くなる

その結果、美香保中のような易しい定期テストが実施されている中学校の生徒は勘違いしてしまいます。「自分、定期テストでそこそこ取れているから、それでいいか!」といったようにです。

当然、成績がつきやすいので、高いランクが飽和状態になります。そして中3になって受ける、初めての道コン。そこで初めて、ランクに見合う実力点を取れていないことを知るのです。「最高のAランク(ほぼオール5)なのに、300点満点で200点」なんて状況も珍しくありません。

子どもにとっては、まわりの人が全員そのような状況です。だから、正しく現状が理解できていなくて当たり前です。将来の選択肢を広げるためには、保護者さんや塾の先生が真実を伝えていく必要があります。

中心部から離れる中学校ほど、この「定期テストが易しい」という傾向に当てはまります。模試を受験するなど、積極的に「競争」を感じる場に送り出した方が良いと思います。

定期テストが難しいと、ランクが不利になる

一方で、北辰中の定期テストは高得点が取りにくいので、ランクが不利になりがちです。

先ほど「Aランクで200点」の例を出しましたが、「250点取れるのに、ランクはBやC」なんてことも珍しくありません。ハッキリ言って、不公平です。

その反面、一筋縄では攻略できない定期テストのおかげか「ランクが取れるから余裕」なんて慢心は生まれません。学校の授業をしっかり聞こうとか、互いにノートを確認し合ったりとか、よく考えて勉強するムードにつながっています。

このような難しい定期テストの学校は、ランクはある程度の基準と考えておいて、どこかのタイミングで「道コンなどの実力点にこだわる」ようにしていった方が、良いと思います。もちろん定期テストは高得点を狙っていくのですが、ランクだけにとらわれる必要はない、ということです。

保護者さんは「あなたのランクで合格できそうな高校を選びなさい」とか「絶対に定期テストで85点以上取らなければダメ」といった対応は、避けるべきです。そうやった対応や判断は、お子さんの可能性をせばめるだけです。


私はもっと「競争があって然るべし」だと思っています。

道コン事務局も、各中学校ごとの平均点をすべて公開して、その差をわかるようにしたら良いのではないでしょうか。そうやって現実がわかる方が「このままではマズい」と危機感をあおり、学校や地域で競って勉強するようになる気がします。

道コンの学校別平均点については、熟長会の鷹取先生がいつも熱心に集計されております。まもなくブログが更新されると思うので、興味ある方はそちらもご覧ください。

ここにいるよ
札幌市中央区北1条東1丁目6−16ニューワンビル3階「学びや むげん」代表のたかとりーなが日々考えていることです

そして定期テスト…創成川を一本隔てただけなのに、こんなにも差があるのです。

やはり公平性が保たれ、正当な評価を受けるようなテストにならないと、それで高校の合否が決まる子どもたちは、たまったものではありません。チャレンジしようという気持ちが削がれてしまいます。

不勉強なのですが、全国もこのように内申点による不公平が生じているのでしょうか。そんなことをボヤいても現実は変わらないので、目の前の生徒たちには、実力をガンガン伸ばしてもらうことにします。

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